Tuesday, June 27, 2006

再読「日本近代文学」・③忘れられた文豪・山田風太郎

●ワールドカップでフジテレビのスポルト毎日観てたら、平井理央、可愛い顔してとんでもないタマだったんだね。まるで山田風太郎の小説に出てくる九の一のようなキャラだ。
●「人間臨終図鑑」読みました。山田風太郎が八百屋お七16歳から泉重千代126歳までの臨終の様を描いた全三巻、1000ページを超える超大作です。
●忘れられた作家・山田風太郎はエンターテインメント作家として知られてますが、バルザック並みの質量を誇る文豪です。「甲賀忍法帳」はその後の映画、小説に絶大な影響を与え、「明治もの」シリーズは荒唐無稽との評価を受けつつ、その時代の人間の悲哀を描いた傑作。「室町もの」でも禁じ手といわれながらも秀作をものにしている。
●山田風太郎は1922年生まれ。戦中派不戦日記などで、戦争に対する不振、憎悪を書き連ねている。両親を幼い時に失い、23歳で終戦を迎えた風太郎の社会に対する不信感はこの時すでにできていた。兵庫県養父郡関宮町(現・養父市)に父母ともに医者の家系。
●『宝石』の短編懸賞に応募した『達磨峠の事件』が入選(1947年1月号に掲載)したことによりデビュー。長編作品『誰にも出来る殺人』、『棺の中の悦楽』等は、読み切り形式の連載作品特有の、一話分のストーリーで起承転結をつけるという制約を守りつつ、全体としても意外な結末へと導く工夫を凝らした作品となっている。その中でも特に最高傑作として『太陽黒点』を挙げる向きも多い。
●デビュー以来の10年、日本ミステリ界の巨人であり、宝石の編集長を自ら務めた江戸川乱歩への恩もあってミステリ作品を執筆していたが自分には向いていなかったと山田風太郎は語るが、多数の傑作を残した事は事実であり、2000年に日本ミステリー文学大賞を受賞した事がそれを何よりも裏付けている。
●また、鼻がペニスという突拍子も無い設定の『陰茎人』をはじめとするユーモア、ナンセンス作品、学年誌に発表したジュニア向け作品や歴史を扱った小説を多数発表。『山屋敷秘図』に代表される切支丹もののように日本を舞台にした作品だけでなく、原稿料のかわりに貰った中国の四大奇書のひとつである金瓶梅をミステリ作品として大胆に再構成した傑作『妖異金瓶梅』はその後忍法帖を執筆するきっかけとなった。
●『妖異金瓶梅』の後、同じく四大奇書である水滸伝を翻案しようと試みるが、108もの武術を考えるに至らず、かわりに忍法という名の奇想天外な術を創作、1958年に発表した『甲賀忍法帖』を皮切りに、安土桃山時代から江戸時代を舞台として、想像の限りを尽くした忍法を駆使する忍者たちの死闘を描いた、いわゆる忍法帖もので一世を風靡する。1963年から講談社より発売された山田風太郎忍法全集は当初全10巻の予定であったが、刊行途中で連載を終えた『柳生忍法帖』を加える形で最終的に全13巻となり、最終的には累計で300万部を売り上げるという爆発的なベストセラーとなった。
●1970年代後半から、佐伯俊男による官能的な表紙絵で角川文庫から多数発売された。1981年の『魔界転生』映画化がきっかけとなり、再び忍法帖は脚光を浴びる事となるが。現在ではほぼ絶版だがなぜか『忍法剣士伝』だけは佐伯俊男の表紙のままで発売しており、2003年の魔界転生の再映画化に伴い寺田克也による表紙で数作品が復刊した。
●ブームの影響もあり忍法帖シリーズの執筆は10年以上に渡って続く事になるが、1970年代に入ると幕末を舞台とした作品を手掛けるようになり、それに橋渡しをする形で1973年に最初の明治もの『警視庁草紙』の連載が始まる。だが最終的に忍法帖に当てはまる最後の作品は、1974年発表の明治を舞台とした『開花の忍者』である。
●山田風太郎の明治ものと呼ばれる作品群は、1973年に連載が始まった『警視庁草紙』は明治時代初期、次に発表された『幻燈辻馬車』は中期と、作を進めるごとに時代が下ってゆく。そして、我々にも馴染みの深い、あるいは名前は知っている歴史上の人物や事件同士を交差させるという大胆な手法が特徴である。史実と史実の間をもしかしたらありえたのではないか、と想像力を駆使して歴史を紡ぎ出すこの手法は、まず史実を踏まえている事を前提として、次にその人、あるいは事件を可能性の中から模索して結びつけている。ここで何らかの矛盾が生じてしまっては元も子もなくなってしまう。これら明治ものは、山田風太郎作品における構成力の緻密さにおいて群を抜いているといえよう。
●1986年の『明治十手架』を最後に明治を舞台とした作品は終焉を告げる。現在では1997年筑摩文庫から発行された山田風太郎明治小説全集全14巻で、忍法帖に属する『開化の忍者』以外の明治ものは全て読む事が可能である。
●1989年、平成に入ってから八代将軍義政を主人公とした『室町少年倶楽部』を皮切りに、資料面の不足などから当時禁じ手とされていた室町時代を舞台にした室町ものと呼ばれる作品群を発表した。この中には、少年時代の日吉丸を中心に京に集った若き日の織田信長、武田信玄、上杉謙信の物語である『室町お伽草紙』や1991年発表の十兵衛三部作の完結編『柳生十兵衛死す』がある。これは「小説を書くとその分命を縮める」と考えていた山田風太郎が書いた最後の小説でもある。そのため彼は晩年には、アイデアはあるものの、それを小説にすることはなかったという。
●90年代は随筆や対談、インタビュー集がいくつか出版されたが、その中でもパーキンソン病にかかった自分自身を見つめた『あと千回の晩飯』は出色の出来である。なお現在、それら小説以外の著作は大部分が各社の文庫におさまっている。室町ものは講談社文庫から『婆沙羅』、小学館文庫の『柳生十兵衛死す』以外は絶版状態だが、出版されたのが90年代中盤から2000年頃までと比較的最近のため、入手は比較的容易である。
●上に挙げたような、カテゴリーに当てはめられる作品群以外にも山田風太郎は優れた著作を多数持っており、その中でも太閤記にはじまる英雄としての豊臣秀吉を疑問視し、徹底的なエゴイストとして描いた『妖説太閤記』と、江戸時代の作家、滝沢馬琴の著作、南総里見八犬伝をすっきりと再構成した上で、八犬伝の世界を虚、八犬伝を書く馬琴の生きる世界を実として交互に綴ってゆくという構成の『八犬傳』は圧巻である。余談だが、山田風太郎は、毎日の献立や出納などを全て日記に記録していた馬琴と似ていたという。
●上記以外の著作としては、自身の昭和20年の日記である『戦中派不戦日記』、それ以外に太平洋戦争の開戦時、日米双方で起きた出来事を時系列順に並べた『同日同刻』や、歴史上や現代の様々な人物の死に際の出来事を死亡年齢順に並べていった『人間臨終図巻』等が知られている。不戦日記はシリーズ化され、作者の死去後は終戦以降の日記が出版され、現在は昭和17年から昭和27年まで読む事ができる。

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作品リスト
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長編作品
現代
悪霊の群(高木彬光との合作)
十三角関係
誰にもできる殺人(誰にも出来る殺人)
青春探偵団
棺の中の悦楽
夜よりほかに聴くものもなし
太陽黒点
神曲崩壊
時代小説
妖異金瓶梅
いだてん百里(原題『山刃夜叉』→『韋駄天百里』→『いだ天百里』)
妖説忠臣蔵
ありんす国伝奇(原題『女人国伝奇』)
白波五人帖(『白浪五人帖』)
秘抄金瓶梅(『妖異金瓶梅』に吸収合併)
おんな牢秘抄
妖説太閤記
武蔵野水滸伝
修羅維新牢(原題『侍よさらば』)
叛旗兵
御用侠
魔郡の通過(副題- 天狗党叙事詩)
八犬傳(八犬伝)
旅人国定龍次
忍法帖

甲賀忍法帖
江戸忍法帖
軍艦忍法帖(原題『飛騨幻法帖』→『飛騨忍法帖』)
くノ一忍法帖
外道忍法帖
忍者月影抄
忍法忠臣蔵
信玄忍法帖(原題『八陣忍法帖』)
風来忍法帖
柳生忍法帖(原題『尼寺五十万石』)
伊賀忍法帖
忍法八犬伝
忍法相伝73
自来也忍法帖
魔天忍法帖
魔界転生(原題『おぼろ忍法帖』)
忍びの卍
笑い陰陽師(角川文庫版は『忍法笑い陰陽師』)
忍法剣士伝(原題『忍者不死鳥』)
銀河忍法帖(原題『天の川を斬る』)
秘戯書争奪(原題『秘書』)
忍法封印いま破る(原題『忍法封印』)
忍者黒白草紙(原題『われ天保のGPU』→『天保忍法帖』)
忍法双頭の鷲(原題『妖の忍法帖』)
海鳴り忍法帖(原題『市民兵ただ一人』)
忍法創世記


明治
警視庁草紙
幻燈辻馬車
地の果ての獄
明治断頭台
明治波濤歌
エドの舞踏会
ラスプーチンが来た
明治十手架
室町
婆沙羅
室町お伽草紙
柳生十兵衛死す
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その他の著作

日記
戦中派虫けら日記(滅失への青春) -昭和17年~19年
戦中派不戦日記 -昭和20年
戦中派焼け跡日記 -昭和21年
戦中派闇市日記 -昭和22年~23年
戦中派動乱日記 -昭和24年~25年
戦中派復興日記 -昭和26年~27年
エッセイ
風眼抄
半身棺桶
死言状
あと千回の晩飯
インタビュー、対談集
風来酔夢談
コレデオシマイ。
風太郎の死ぬ話
いまわの際に言うべき一大事はなし。
ぜんぶ余禄
風々院風々風々居士
ノンフィクション
同日同刻
人間臨終図巻
疾風迅雷書簡集
ーーー以上、ウィキペディアより、抜粋。
●とにかく読んだことのない人はぜひ一読ください。
お薦めは
「人間臨終図鑑」「後千回の晩飯」「甲賀忍法帳」「魔界転生」「明治波頭歌」

Friday, June 23, 2006

ど素人vsプロ中のプロが動かすお笑い・日本経済

●福井総裁の「ド素人ですから…」を聞いた時、ああこの人は危機管理と、日本経済の舵取りとして二重の意味でド素人だと思いましした。それに引き換え、投資家としては「プロ中のプロ」なんじゃないですか。7年で、元本が倍以上になってるんですから。
●ただし、マスコミで言われるようにVIP待遇運用を受けてたとしたら…まずいですね。村上氏を紹介してくれたオリックスの宮内氏をかばって…とか喧伝されてますが、やばいですね。
●最初は富士通の顧問時代に購入したファンドなので、大した事件にはならないと思っておりましたが、福井氏自身の危機管理の甘さで次第に波紋が広がってきました。発言は二転三転し、「大した金額ではない」「村上氏のようなやる気のある若い人に支援をした」「阪神ファンとして許せなかった」とか、発言の方向性が間違った方向へ進んでます。そもそも利殖行為は悪いことではないのだから、どうどう「金儲けです」といえばいいのだ。また、1,400万円の利益がはした金というのはこのゼロ金利時代にバッシングされてもしょうがない、と言うか、バッシングされたがって辞職したいとしか思えない発言を連発する。
●それなのに本人は「辞任したくない」と仰るのだから、全く状況が見えてない。視野狭窄になっているのか、よほどの馬鹿か。立川談志師匠曰く「状況判断できない人、優先順位を間違う人、これを馬鹿という」。名言ですな。とにかく村上ファンド全額寄付、給料30パーセントカットとか、過去のノーパンしゃぶしゃぶ事件で副総裁を辞任したこともあってか、死んでも辞任だけはしたくないのだけは伝わってくる。総裁を辞めると何か不都合でもあるのか?とにかく疚しいことがなにもないのにここまで卑屈になることもなかろう。かんぐられても仕方がない。世間を騒がせた罪というのでここまで、譲歩したら後進に迷惑が掛かる。日銀の独立性に影響を与えかねない。「カネさえ俺が損すれば馬鹿な大衆は溜飲を下げるだろう」的なび縫策にしか映らない。なんだかんだ、自分のことしか考えてない構図が見えてくる。そう言えば、白洲次郎は「日本にはプリンシプルがない」とのたまってました。
●ここまで大きくなった波紋の火消しを状況判断のできない福井氏(国会の答弁でも後ろに日銀弁護団が控え、ご当人一人では対処できてませんでした。ヒューザーの尾島社長を思い出します(笑))には無理でしょう。早晩退任に追い込まれるでしょう。
●ただし、自分が何でやめなければならないのか自覚しないままやめるしかなく、それなりに一角の70代の老人の末節としては哀れだと言えます。
●今回のケースは先のホリエモン、村上ファンドと同じ流れを引く事件です。
●大蔵省=護送船団方式時代は金融機関には行政指導という形で口頭で指示を出していました。この方がフレキシブルに対応できた時代があったのです。
●時代は変り、規制緩和・金融ビッグバン時代に移行し、かつての行政指導は効力を失った。そこで遅れた法整備のすきまをついてきたのがヒルズ族だ。
●しかし、彼らも「稼ぐが勝ち」「物言う株主」とか言っていたが、ワキのあまいところがあるのと、強引な商取引を検察に目を付けられ、お縄となったのも「プロ中のプロ」とはいえない。
●だが、問題の根本は規制緩和政策に見合った法整備を怠った金融監督庁にある。その辺のところを福井氏は自覚があるのやら、ないのやら。
●確かに日銀総裁が特定のファンドを買ってはいけないという法はない。アメリカのようにFRB幹部は特定の株式、有価証券の購入を禁ずるという明確な法規はない(至急、作るべきだが)しかし、日銀の内規にはそれに準ずる内容が書かれてある。常識で考えても一国の国営銀行のトップとしてはまずい行動だろう。最低限、250万円の利益確保された05年12月に解約すべきだった。当時から日銀総裁のだった。「李下に冠を正さず」って知ってますか?なぜならば、ご本人が以前、無念の副総裁退任になったのは「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件だったことを忘れたのか?「のど元過ぎれば熱さ忘れる」は知っていたようだが…
●どちらにしろ立法(金融監督庁)司法(日本銀行)行政(ヒルズ族)の三権がこの体たらくなのが今日の日本経済の現実だ。
●笑うしかありませんな…これからしばらくはこのての金融事件が続くでしょう。MHKの最後の一人、木村剛氏も首を涼しくしてるでしょう…
●しかし、これらの騒動がきっかけで日本経済のファンダメンタルが改善されればいいんですが…改悪される可能性もあり、崖っぷちですな。日本の経済。

Thursday, June 22, 2006

喜劇王達の夜

●先日、仲本工事が離婚して全員が独身になったドリフターズ。平均年齢は優に60を超えてる面々がこの体たらく。しかし、ワタクシはこの芸能ニュースを見てある感慨にふけった。
●古今東西、コメディアンとはこういう人種なのだ。
●まず、大御所から。チャールズ・チャップリンは離婚結婚を4度繰り返した。有名なのは「モダンタイムス」のポーレット・ゴダードだが、彼女(当時18歳ぐらい)にフェラチオを強要したという。当時ゴシップ記事に掲載されたらしいが、新聞紙上にこのワードが掲載されたのははじめてっだたと言う。基本的にはロリコンで、この辺は加藤茶と類似性がある。晩年はスイスで最後の妻と人生を全うしたが、前半のチャップリンは放浪の変態紳士だった。
●お次はアメリカから。これも大物のウッディ・アレン。映画通には有名な話だが、再婚相手のミア・ファローとの間に何人もの養子を持ったウッディ。ここまではよくあるハリウッドセレブの話だが、ミア・ファローの自伝を読むと、なんと10歳にも満たない幼女に性的いたずらをしているところを目撃したそう。実際、チャイニーズ系の養女と裁判で争って真剣を勝ち得た後、20歳になるのをまってその養女と入籍たニューヨーカーのシンボルとまで言われた天才コメディアンも現在はロンドンで暮らしています。ちなみにチャップリンもウッディもユダヤ人です。
●こちらは日本の喜劇王・森繁久弥。この人はもともと、「社長シリーズ」「駅前シリーズ」など有名な喜劇役者です。「大遺言」が久世氏の死で終わってしまいましたが、この会話の中身が「モリミッちゃんね(森光子)。若い頃はいい女でしたよ…何かあったかって?野暮なこと聞きなさんな。クックックック(笑)」と言う内容のオンパレードでした。
●最近の笑い芸人も明石屋さんま、松本人志、志村けんなど、エポック・メイキングな人ほど独身貴族です。たけしも事実上、独身でしょう。
●また、逆に男はつらいよの寅さんで知られる渥美清は徹底した秘密主義で生涯を送りました。逆に何か凄みを感じさせます…
●破天荒芸人と言えば、横山やすし。この人は女癖というより酒癖でしたが…
●演歌でも有名な桂春団次も資産家の未亡人にパトロンになってもらって「後家殺し」の異名で一躍、有名になりました。
●アメリカのコメディアンでピーウイー・ハーマンは映画館で露出して業界を追放されました。
●ジョン・ベルーシはオーバードーズで死にました。
●今、お笑いブームで若手芸人がモテモテなようですが、もともとお笑い芸人というのは昔からよくもてたようです。
●天国でちょーさんも笑っています。

Wednesday, June 21, 2006

ワールドカップ小噺②「愛国心」

●「教育基本法の愛国心問題。決着はついてませんが、ワールドカップの日本代表の決勝進出は決着つきましたね。ブラジルに二点差ですか…
●決定力不足、監督の采配ミス、暑さに負けたなどいろいろ言われてますが、「愛国心」の欠如も敗因の一つです。
●ドイツ人記者と軽口をたたく高原や、海外組のくせに緊張感のない小野に非難の声が集まっています(今週のナンバーに詳しく書いてます)。
●ワールドカップと愛国心は深い関係があります。例えば、スペイン。フランコ将軍の圧政のせいで、カステリーヤ人、バスク人はマドリード人が大嫌いです。それが理由で長年スペインは国際舞台で勝てませんでした。フランコはレアルマドリー(王様のマドリッド)を贔屓して、その対抗心としてバルサが強くなりましたが…
●ところが、今回のスペインはやけに強い。理由は愛国心です。ラウルを押しのけてFWで活躍するビジャは20歳。フランコが死んで30年経った今日、ビジャは若いのに愛国者として有名です。
●お隣の韓国は強烈な愛国心で予選を突破するでしょう。日本と技術的な差はほとんどないので「愛国心」の有無が如実です。
●アルゼンチンやアフリカ諸国は宗主国イングランドが世界に広めた植民地サッカーに地元民が勝利することによってナショナリズムを高揚させてきた歴史があります。元祖のイングランド自身もFAカップでパブリックスクールチームを炭鉱労働者チームが破ることによって労働者階級のスポーツとして定着しました。イタリアやドイツなどではある時期はファシズムにも利用されてきましたが…
●GHQの要請で権力を得た日教組の暗躍で戦後民主主義教育は愛国心を育てることを封印しました。冷戦崩壊後もゾンビのように生き残る左翼的言論。評論家の柄谷行人氏のように私たちは「世界市民」として振舞わなければいけないのでしょうか。
●愛国心=国民国家の基礎概念をもつことは近代にとっては重要事項でした。国旗、国家を発明したのが革命後のフランス政府であることがこのことを証明しています。
●日本はフランス革命の1100年前から国民国家概念で建国されていました。作家の坂口安吾の説ですが「日本人は元来、朝鮮半島からの移住民族が覇権を争い、それぞれ百済、新羅、高句麗系の移住民が日本で代理戦争し、最後に現天皇家が勝った。その後も源氏、平氏の争いは過去を引きずっているに過ぎない」と大胆な仮説を論じています。新羅系か百済系が勝ち、記紀神話を創作することによって、過去の地方豪族、渡来系民族の歴史を捏造したのである。ワタクシはこの意見に賛同しますので、この伝で話を進めると日本は世界最古の国民国家だと言えます。
●そんなわが国が始めて国民国家概念を否定したのが戦後です。今回のワールドカップ予選敗退は戦後民主義教育のつけがまわってきたとも言えます。
●今大会で愛国心を見せてくれた日本代表の中田英俊選手、川口能活選手。お疲れ様でした。

Tuesday, June 20, 2006

歴史はハニートラップでつくられる

●3月31日付読売新聞朝刊が、2004年5月6日に職場で自殺した上海総領事館員の遺書をスクープした。読売新聞は「総領事あての遺書は計5枚の長文で、中国側の接近から自殺を決意するまでの経緯が個条書きで記され」としているが、この遺書の体裁は、外務省で用いられている「事務連絡」という電報の形式をとっている。筆者はこの遺書は私信ではなく、死を決意した電信官が杉本信行総領事(当時)に宛てた最後の公務報告書として取り扱うべきと考える。
 中国の工作員唐某は、〈あなたがやって来たことは中国では、法律に違反する。あなたは領事館員という立場で、そういうことをして、ただですむと思っているのか、我々と会っていると言うこと自体、総領事館に知られたら困るのではないか、国と国の問題になるぞと恫喝(どうかつ)してきました。仕事を失い、家族はどうなる。あなたが「協力する」と言えば、家族とも一緒に暮らせるし、その女性も幸せに過ごせる。全ては円満に収まるではないか。私達(唐)はあなたが「不幸」になる姿を見たくない等と言い続けました。3時間を経過したとき、私は「承諾する」と言いました〉(原文のママ)というような工作をかけた。
 唐某の工作は卑劣であるが、諜報の世界ではよくあることだ。筆者ならば「ただですむと思っているのか」と聞かれたら、こう言い返す。〈もちろんただで済むと思っている。それとも貴様に利息をつけて返してやろうか。中国に怖い人間はたくさんいると思うが、日本にもいる。あなたは少し気が短いんじゃないか。『気が短い人は命も短い』というこの業界の常識を知らないのか〉
●ーーーー以上は、webマガジンの人気コラム佐藤優の「国家の罠」からの抜粋です。
中国共産党が外国人の要人にスパイの女性を相手の懐にもぐりこませ、肉体関係を結んだ上で、相手側の情報を取ろうとする戦術。通称、ハニートラップと言うそうだ。
●このハニートラップに引っかかったのはこの上海領事館員だけでなく、大物政治家なんかにもよくあることらしい。櫻井よしこは先日の橋本龍太郎の訪中は過去のハニートラップに引っかかった件で中国の言いなりになっているという。実際、橋本は首相在任時に問題になった。
●ハニートラップはそれこそスパイの歴史と同じぐらい古いもの。戦後の日本にはスパイ文化というものがそもそもなかったからこの手の問題には疎い。戦前には日本にも戦争末期に陸軍中野学校というスパイ養成所が作られた。
●また、戦国時代の忍者・九の一などはまさにハニートラップの元祖ともいえるし、満州国皇帝・溥儀の側近である川島芳子なんかも有名だ。九の一に興味がある方は山田風太郎の「甲賀忍法帖」をお薦めする。また、川島芳子に興味がある方はベルトルッチの「ラストエンペラー」がお薦め。
●ヨーロッパにもマタ・ハリという美人スパイがいた。彼女もハニートラップが武器だったそうだ。
●これは最近の研究で言われるようになったが、戦前の陸軍士官がドイツ留学に言った際に盛んにハニーとラプウに引っかかったと言う説だ。石原莞爾から森鴎外まで、ベルリンに派遣されると必ず、愛人ができるのであるが、極東の貧困なアジア人が金髪碧眼のゲルマン娘にそんなにモテルはずもなく、あれはハニートラップだったと言う説だ。もしこれが本当なら、第二次世界大戦に引き金は日本軍の異様なドイツびいきから起こった側面があるので、大問題であろう。歴史は女でつくられる(笑)
●そもそもこの話がリアリティがあるのは戦後、ハニートラップがお家芸の国は佐藤優氏によると東ドイツだそうである。悪名高い特高警察(シュタージ)が有名なだけに、信憑性がある。
●そう言えば、プーチン・ロシア大統領は東ドイツのKGB出身。ここで頭角を現し、師匠であるロシア市長に引っ張られて、政界の表舞台に立つ。このロシア市長がハニートラップにひっかかかり、SEXビデオが流出し、その火消しをやったのがプーチンだった。しかし火をつけたのは誰だ。この後、プーチンは出世の階段を上り続けて、大統領の地位を得るまでになった。
●歴史はハニートラップでつくられる
●東洋のマタハリ・川島芳子は戦後、中国で死刑の判決を受ける
その時の辞世の句を記す

家あれども帰り得ず
涙あれども語り得ず
法あれども正しきを得ず
冤あれども誰にか訴えん

Friday, June 16, 2006

江原啓之のオーラは何色?

●「オーラの泉」でおなじみの江原啓之。美輪明宏と名コンビを組み、出演依頼のタレントが殺到していと言う。しかも、番組に出演したタレントの半数は涙ぐみ、とても演技とは思えないリアクションを披露している。
●H木K子は番組上で、様々な予言・アドバイスをしてことごとく外しているが、江原先生は本格派の雰囲気を漂わせている。江原は本物か、偽者か?
●実は江原先生に個人カウンセリングを受けた人から直接、話を聞いたことがある。その方は30代の女性だが、自分の夫(内縁だが)の霊が安らかに眠っているのか(病死したので)見てもらいたいという依頼だった。「ご主人がクルマに乗ってあなたを迎えに来ている」と言われたそうだが、ご主人は生前、クルマの免許をもってないそうだ。ただ、一人息子に「あなたは霊能力が強い」と言ってくれたそうだが、それはそうらしい(息子さんはそういう能力が強いそうだ)。このエピソードを聞くと、全く霊能力がないわけではない…ということしか解らない。
●「スピリチャルな人生に目覚めるために」という江原氏の半生、スピリチュアル・カウンセラーになるまでを書いた自伝を読んだ。それなりに苦労をしていることもあって面白く、かつなるほどと思える内容で、一時、週刊文春で書かれたようなワルな感じはしませんでした(飼ってた犬を虐待するとか、スタッフに暴力を振るうとか)。
●そもそも、ワタクシが江原氏に興味を持つようになったのは美輪さんが大推薦したことと、オーラって何や?という素朴な疑問からである。
●自分のオーラの色に興味をもったワタクシは別のスピリチャル系の専門家にオーラの色を診てもらった。結果は紫(情が深い)と青(クールで理知的)が混じっていると言われました。そう言われれば、そんな気が…
●ちなみに赤(情熱的な野心家)
黄色(人当たりがよく、ある意味お調子者)
金(芸術家に多い。人気者)
銀(職人気質の頑固者)
緑(平和を愛する温和な性格)
黒(これが出ると死期が近いらしい…こわ!)
●江原氏は現世は仮の世であの世こそが現世であると主張してます。また、人間が現世をさまようのは未熟な魂を磨き上げるためにこの世に生を授かったと論じます。
●このての話はよく聞く話なので、江原氏のオリジナルではないので、特にああそうか、とも思いませんが、人間に霊がある、とかオーラが出ている、とかは十分に信用できる範囲ではあります(最もワタクシ自体は何の霊能力もありませんが)
●とは言うものの信じるものは救われるではありませんが、先のスピリチュアルの先生に聞いた都内のスピリチュアルゾーンを紹介します。
①明治神宮の中にある将門の井戸
②六本木・芋洗い坂下(ここは悪い霊の溜り場)
③六本木ロアビル・地下トイレ(ここも悪い霊。六本木は磁場が悪いのかも…)
④池袋駅・何とか神社(名前は忘れましたが、線路沿い。パルコの裏です)
⑤江戸川橋・神田川沿いの水神社
⑥新宿・十二荘温泉付近
⑦板橋・何とか欅(多分五本欅だったと思いますが…)
⑧目白・マルマル教会ののトレビの泉
●このうちの何箇所かは家から近いので行ってみましたが、今のところ、御利益らしいものはないような気が…
●とにかく、世の中には科学だけでは割り切れないものがあるといことだけは事実でしょう。

Thursday, June 15, 2006

お笑い・ダ・ヴィンチ・コード

●全世界で5000万部を超えるベストセラーの映画化、『ダ・ヴィンチ・コード』が、ついに世界同時公開された。観ようか観まいか迷ってましたが、偶然見てしまいました。ワタクシ、中世ヨーロッパの擬史、大好きなので解説します。ネタバレしますので、注意してください。
●講演会のためパリを訪れていたハーヴァード大学教授のラングドン(トム・ハンクス=ハリウッドを代表する名優)。突然、深夜にフランス司法警察のファーシュ警部(ジャン・レノ=今や、フランスと言うよりもハリウッド映画のほうが出演機会が多い国際俳優。リュック・ベッソンの「グラン・ブルー」や「レオン」で日本で人気があるチョイ悪親父)に呼ばれ、ルーブル美術館に連れ出される。美術館長のソニエールが殺され、彼に捜査に協力して欲しいとの要請を受けるが、実は、ラングドンも容疑者にされていたのだった。そこにソニエールの孫娘で、暗号解読者のソフィー(オドレイ・トトゥ=アメリで有名なフランスの若手女優。この映画の出演の後、何故か引退宣言した)が現れる。ソフィーは、現場の写真を見て、祖父が自分だけに分かる暗号を残したことに気付く。殺された館長が残したダイイングメッセージを、二人が協力して解読するというもの。
●やがてこのダイイングメッセージ(死の間際に被害者が残すヒント)は、どうやらキリスト教世界で最も重要な聖遺物(キリストの遺品や関連アイテム)である、"聖杯"のありかを示しているとわかる。しかし彼らは、館長殺害犯の容疑をかけるフランス警察と、聖杯を狙うカトリックの急進派閥オプス・デイの暗殺者に追われる身となってしまう。
●館長は十字軍として名をはせた中世の騎士団、テンプル騎士団とその宗教的バックボーンになっているシオン修道会の秘密結社の一員だったのだ。
●テンプル騎士団は十字軍時代に活躍した騎士団で、トラベラーズチェックや、銀行を発明したと言われる。14世紀にフランス国王から迫害され、男色の罪で一斉検挙される。その日が10月13日の金曜日。13日の金曜日が不吉とされるのはこれが原因。
●ラングドンとソフィーはソニエールの旧友、ティービング教授(イアン・マッケラン=「ロードオブザリング」で有名な英国俳優。サーの称号を持ち、この役はあのアンソニー・ホプキンスと争った)に謎の鍵を握るキーストーンを受け取る。キーワードを解かなければならない。マグダラのマリアの墓の所在地が示されている。
●ルネッサンスの巨匠・レオナルド・ダヴィンチもシオン修道会の一員で、「最後の晩餐」でイエスの横に座っているのはヨハネではなく、マグダラのマリアだった。そして2人の不自然な構図は聖杯を意味している。そしてそして聖杯は女性の子宮を象徴している(笑)。
●ティービングとラングドン、ソフィーはシオン縁の地、ロンドンとスコットランドに向かう。
●オプス・デイの黒幕はティービングだった。暗殺者シラス(ポール・ベタニー・この映画で唯一の好演)は裏切られ、ホテルで銃殺される。
●ロズリン修道院で、ティービングとラングドンは対決。ラングドンは12万通りのキーワードからニュートン(彼もシオン修道会のメンバー)の墓をヒントに解読する。答えはAPPLE(笑)。
●そして、ソフィーの華族が死んだ新聞記事をラングドンは探し出した(笑)。実はソニエールの孫ソフィーは事故で両親と死亡してソフィーは実はシオン修道会の末裔、つまり、イエスとマリアの子孫だった(笑)。シオン修道会のマークは男女の結合を示すマークだった(要はSEX万歳!というお話)
●ソフィーの実のお婆ちゃんが現れ、ティービングは警察に連れて行かれ、ソフィーはシオン修道会を継ぐ決心を固める。めでたしめでたし(笑)。
●一人、パリに戻ったラングドンはキーストーンに封印されていた聖書の一説からマリアの墓がルーブルの地下にあることに気づく(エンドマーク、この後、ソフィーとラングドンがSEXしたかは不明)。
●主人公のラングドン演じるトム・ハンクスは直感記憶残像保持者で解読の天才。したがってどんな難しい謎もサクサク解読するのでサスペンスがない。
●監督のロン・ハワードは「アポロ13」の名匠だが、所詮はヤンキー(笑)。ヨーロッパを舞台にした歴史ミステリーは煮が重かった。
●ロン・ハワードとコンビを組むプロデューサー・ブランダン・グレイザーは「24」なども手がけるプロデューサーだが、元サーファーで、「ブルークラッシュ」という映画の監督だけあって、ノリが軽い。
●原作のダン・ブラウンは元ミュージシャン。これは推測だが、ヒッピー一家に育って、アメリカ人に多い陰謀史観家になったのだろう。原作はトンデモ話をうまくつなげた。
●言ってみればハリウッドの最強のスタッフが結集したにもかかわらず、この程度のものしか造れないのだ。
●こんなドラマを喜んでみる下地がアメリカにある。バイブルベルトと言われるアメリカの中部・南部はキリスト教原理主義者の巣窟だ。
アメリカ人の2人に一人はハルマゲドンを信じている。
アメリカ人の4人に一人は進化論を信じていない
現在、アメリカでは中絶を禁止する州が増えている。
もちろんアメリカ人のほとんどは肥満している。
●はっきりいって「ダ・ヴィンチコード」は馬鹿映画だ。しかし、こんな馬鹿映画が大ヒットしているどこかの外国があるとしたらやっぱりその国は馬鹿だ。

Wednesday, June 14, 2006

ワールドカップ小噺・忘れられた同盟国・ドイツ

●ワールドカップ開催地だというのに皆さん、ドイツに興味がないようですがせっかくですのでドイツについてちょっとは考えて欲しいモンです。
●今回のワールドカップのドイツ的意義は東西統一後の初の国際的祭典であるという点です。旧東ドイツの開催地はベルリンとライプチヒです。残りの都市は全て旧西ドイツ(ハンブルク、シュツットガルト、ニュルンベルク、フランクフルト、ミュウンヘン、ハノーバー、ゲルゼンキリヘル、ケルン、ドルトムント、カイザースラウテルン)です。注目はメイン会場のベルリン。実はベルリンが国際舞台のメイン会場になるのはかのベルリン・オリンピック以来70年ぶりなんです。ヒトラーの影を完全に払拭したというこですな。ベルリンやなどのヒトラーゆかりの地では「ここでヒトラーは自害しました」という標識をいまだにナチスに恨みを持つ人のために懺悔標識を出しているそう。
●ミュンヘンや、ニュルンベルクではネオナチが暴れそう…怖い…
●そういった意味でドイツにとっては意義深い大会です。
●ドイツ代表のエース・バラックは旧東ドイツ出身者。この大会にかける思いもひと際強いでしょう。
●とは言うものの、優勝は難しそうですな…守備力が落ちている。
●日本といえば、戦後払拭されましたが、かつての同盟国として密接な関係をかつてむっ済んでました。
●まず、明治維新時代、日本の陸軍を指導したのはドイツでした。
●ドイツ(当時はプロイセン)帝国は当時、フランスを破り、陸軍としては最強とみなされてました。モルトケ将軍の右腕メルケルが来日したのはその頃。メルケルは関が原の合戦の布陣地図を見て、「これは西軍(豊臣)の勝ちだな」と言った事で有名です。
●この頃、ベルリンに留学したのが後に陸軍軍医総監になる、小説家・森鴎外。小説「舞姫」で、ベルリンのの踊り子・エリスとの恋を格調高い漢文書き下し朝で執筆し、日本近代文学の代表作となりました。この小説は実話にもと基づいたもので、後年、帰国した鴎外のもとにドイツ女性が尋ねてきたことが明らかになります。
●同じ頃、ロンドンでノイローゼになっていたライバル・夏目漱石に比べて、颯爽としてかっこいいですが、これも後年の研究で異論が講じられています。先日、中国領事館の職員が中国のハニートラップ(女性スパイを接触させて、肉体関係を結び、相手側の情報を取るスパイ作戦)に引っかかり、自殺しましたが、当時のドイツも外国人留学生、それも軍関係者にハニートラップを仕掛けた可能性が高いという説です。後年、謹厳実直で有名な陸軍将校の石原莞爾もドイツ留学時代には愛人が居たそうです。
●もっとも、鴎外がもてたのは事実で、エリスのモデルになった人物が来日したのは船旅時代。ベルリンから東京へは優に一ヶ月は掛かった時代。まさか金をせびりに来たのではないでしょう。娘の森茉莉もあれだけ父を溺愛していたし…
●戦前の陸軍に皇道派と統制派という派閥がありました。皇道派とは226事件を起こした連中で、立憲君主制に反対し、天皇を中心とする絶対王政を標榜すしました。今となっては時代遅れですが、世は帝国主義時代。対する統制派は国家装総動員で、戦争しようという派閥で、実際には統制派が派遣をとって第二次大戦に突入したのはご存知のとおりです。
●その統制派の決起集会が行われたのがドイツの温泉保養地・バーデンバーデン。ニュールンベルクから電車で1時間です。その時のメンバーが永田鉄山、東条英機でした。
●このように第二次大戦の中心人物を配した陸軍がドイツと密接にコミットしていた事実を忘れてはならない。
●現在公開中の映画・松平健主演の「バルトの楽園」がちょっとええ話になっていますが…これは第一次世界大戦で中国・青島で捕虜になったドイツ兵が四国の捕虜収容所で軍人や地元住民との交流の話ですが、さもありなんといった内容で、こういう物語がリアリティをもつほど、戦前の日本(特に陸軍)はドイツびいきでした。それが後に第二次世界戦に繋がるんですが…
●トーマス・マン、ゲーテと言えば戦前の文学青年の必読書。ビルドゥングスロマン(成長小説)は世界中に影響を与え、「若きヴェルテルの悩み」を読んで自殺した若者が続出したそうです。
●モーツアルト、バッハと言えば、クラッシック音楽の二大巨星として今日も世界中でもっとも演奏されています。
●マックス・ウェーバー、カント、マルクス、ニーチェ、フロイトと言えば20世紀の哲学・思想に最も影響を与えた巨人です。一冊も読んでない方は21世紀どころか20世紀すら理解できないので、すぐ読みましょうお薦めはウェーバー「プロテスタンティズムと資本主義の精神」カント「永遠平和のために」ニーチェ「ツアラトゥストラはこう言った」フロイト「精神分析入門」
●ポルシエ、ベンツ、BMWといえば日本人が最も好きな外車です。
●フリッツ・ラング、ヴィム・ベンダースなどドイツ映画も好きですね。ビリーワイルダーもドイツ系です。
●我々は多大な影響をドイツに受けています。もっともっと今回のワールドカップをきっかけにドイツを知りましょう
●ジーク、ハイル!!!!(ヒトラーのことももう一回見直すのにいい時期です。マジで)

Tuesday, June 13, 2006

ジーコJAPANと犬の生活

●ブラジル戦が済んでからと思ったが、やっぱり気が済まないのでジーコJAPANを論じます。
●まず、昨夜のオーストラリア戦。勝てる試合でした。前半中村のゴールはラッキーとしか言いようのないごっつあんゴール。審判が無効と言えばそれまででした。まあ、ツキがある。前半1-0でリードしたのはラッキーでした。川口はスーパーセーブを連発。勝てる材料は揃った。
●こういった日本が勝てるというムードの中で仕掛けてくるのがヒディンク監督だ。韓国時代と同じく、次から次へとFWを繰り出してきた。ポストのケネディとこぼれだまを押し込めるケーヒル、アロイーゾ。この選手交代が的中した。対してジーコは後半30分に小野を投入。中田を上げて、柳沢を下げて布陣変更。しかしこの時点で疲労が激しい福西と遠藤を交代させるべきだった。FWは柳沢、高原を下げて大黒、玉田に交代させるべきだった。ヒディンクは調子が悪いエース・キーウェルをズバっと交代したが、決定機にシュートを打たない(今日に始まったことではないが)柳沢と打つことは打つが決定力が決定的に不足している高原がなんとかオーストラリアの猛攻を凌いでいる守備陣に悪いリズムを与えていることに気がつかないのか。点が取れないにしてもゴールマウスにシュートを打つことでチームはいいリズムに乗れる。そういう意味ではオーストラリア20シュートに対して日本の2トップの6本は少なすぎる。
●敗因は二つ。監督の差。攻撃陣の決定力の差。中盤はよくやった。1ゴールの中村。ゲームメイクの中田。ボランチの福西。守備もよかった。中澤、駒井。紺野もいいセンタリングを何本も上げていた。川口も最後の三失点はしょうがない。
●クロアチア戦もブラジル戦も残っている。それぞれあきらめずに戦ってもらいたい。
●しかしジーコJAPANは予選を通過しようがしまいがこのドイツで終わるだろう。
●そこでジーコが日本に何をもたらしたかを検証したい。
●ジーコが日本に来たのは今から17年前。当時住友金属だった鹿島アントラーズに選手として来日した。当初は金目当てだと非難されたが、その闘争心や経験でチームを優勝に導いた。その後も、一時、ブラジルに帰国したが日本との関係は続き、3年前に代表監督に就任した。
●選手としてのジーコは非の打ち所のないものだった。「白いペレ」「サッカーの神様」と呼ばれた世界的英雄である。本人おポジションは攻撃的ミッドフィルダー。ブラジル通算得点もペレに告ぐ、点取り屋だ。だが、なぜかワールドカップの優勝経験はない。
●さらに指導者としてはフランス大会のテクニカルアドバイザーとして参加したが、決勝でロッカールームでケンカしてロナウドがひきつけを起こして3-0で大敗した。別にジーコのせいではないが指導者としては実績はなく、わかりやすくいうとブラジルの長島(笑)
●神様・ジーコが日本に植えつけようとしたものはサッカーの技術ではなくサッカー哲学だという意見がある。サッカーとは組織的にやるのではなく、ひとリ一人が状況の中で判断して創造していく、というブラジル・サッカーだ。前任のトルシエがピエール・ブールの「猿の惑星」を地で行くかのごとく、黄色い猿扱いしたのとは正反対だ。しかし、結論から言うとトルシエのほうが結果を出すだろう。
●サッカーの哲学は技術をともなってこそ身につく。理念だけを植えつけることは難しい。そして、これは決定的なことだが、日本のようなサッカー後進国は勝ってこそ、己のサッカー哲学が確立されるのだ。負ければ何もならない。まだ日本はサッカーのアイデンテティをもってない。終戦直後、マッカーサーは「日本人はまだ13歳」と言ったそうだが、トルシエも同じ事を考えたのだろう。世界は日本のサッカーを知らない。昨日の試合はヨーロッパ人はだれも観ないだろう。日本がまずやるべきことはヨーロッパ人に「今日は日本の試合があるから早く帰ろう」と思わせることだ。それにはまず、勝つこと。そこから日本のサッカースタイルや哲学が確立されていくのだ。負けることからは何も生まれない。
●今回の9分3失点は日本人がまだサッカーを熟知してないことをさらけ出した。
●ジーコが攻撃性や自主性にこだわるのはかまわないが、それではFWの中でも最も創造性や積極性に乏しい柳沢や高原を使い続けたのか?
●高原はドイツで6年いて通産10点程度の選手。柳沢にいたっては0点。柳沢は鹿島時代も含めると10年以上薫陶を与え続けた愛弟子だ。いつになったら自主性を発揮してくれることやら。
●このままではジーコの4年間は無駄になるだろう。なぜならどのサッカー強国もかつては弱かった。勝つことによってスタイルを作り上げてきたのだ。アルゼンチンはイギリスのサッカー協会チームを国内のチームが勝利することによってナショナリズムを高揚させた。ドイツは敗戦の暗い影を代表チームの勝利が払拭した。ブラジルはサッカーそのものが国のアイデンテティだ。イングランドはFAカップでパブリックスクールチームを炭鉱の労働者チームが破ったことによって労働者階級のナショナル・パスタイムとなった。かようにサッカーとは20世紀的な民衆主義スポーツなのだ。21世紀、デモクラシーも豊かさも既得した日本がサッカーにどのようなアイデンテティを国民にもたせることができるのか?
●とはいうものの、日本のサッカーは実に日本らしかった(笑)。FWが点をとらないといういやなアイデンティティが確立されつつある。日本人は何故ゴールにボールを叩き込むのが嫌いなのか?ジーコでも治せなかったこの悪い生活習慣病に掛かったのは何故か?戦後民主義教育の影響で弾(ボール)を爆撃する事に対してトラウマでもあるのか、と思わせる。さらに先制はできても追加攻撃ができないのは真珠湾攻撃に似ている。また、笛を聞く前に勝った気になるつめの甘さもドーハの悲劇からのお家芸だ。要は精神力が弱いのだろう。いつから日本人は我慢強くなくなったのか?蒙古来襲を耐え忍んだ鎌倉時代が懐かしい…(笑)
とにかく、決定力不足、メンタル面が弱い、詰めが甘い。逆にスピードがある、ボール回しがうまい、守備力が高い、のが日本サッカーの長所・短所だ。これが日本人全体の特徴ならそれはそれでしょうがないが、戦後の、日本人の悪い面がサッカーにも出ている気がするのは、ワタシだけ?
●ジーコよ!さようなら!4年間ありがとうございました。でも、何にも教えてくれなかったね。それだけが残念でした。ジーコ様の指導はまだ技術が未熟な日本には早すぎました。
●ドイツワールドカップのポイントは犬だ(笑)。
●名将ヒディンクの采配の原点は犬にある実兄が言っていた。幼い頃、ペットの犬を与えられたヒディンクは言葉の通じない犬が何を考えているのかを見抜き、犬を指導させることに成功したと言う。これがヒディンク采配の原点だそう。
●笑うことなかれ、現在、日本スポーツ界最高の指導者といはれる清宮監督の原点も子供の頃、飼っていた鳥を自分の不注意で死なせたことが原点となって現在の指導方法にたどり着いたそうだ。
●今大会のエース・ブラジル・ロナウジーニョも子供の頃から犬とのワンオンワンでドリブルの技を磨いた。今日も試合後、犬とボールを取り合うのが日課となっている。
●猿が犬に負けたってことですか…日本代表選手は全員犬を飼うことから始めよう。ちなみに代表で一番勝負強い大黒は飼ってます。
ロンメル君も泣いてます…

Monday, June 12, 2006

村上欽ちゃんファンドとヒルズ「鹿鳴館」時代

今日は書きたいことがないので、時事ネタで…
●村上さん、捕まっちゃいましたね。しかも、ライブドアの宮内のゲロで…やっぱり、ああゆう連中って、やくざ映画の鶴田浩二よりも仁義がないんだね…ま、ワタクシは深作ファンなのでかまいませんが。でも「仁義なき戦い」だったら出所直後に射殺されまっせ、渡瀬恒彦あたりに。そういえば沖縄で変死したあの人の再調査はしないんか?
●それにしても、ライブドアのインサイダーなんて村上ファンドのその他のやったであろう違法行為からすれば大した問題ではないような気がするが…ま、何がなんでも村上欽ちゃんを捕まえたかったのだろうけど…
●検察は村上、ホリエモンを潰そうとして潰したんでしょうが、そこまで躍起になったのはなぜか?
①国民の声②政府の指示③司法の矜持…もしくはその複合?
●金融庁の法整備の遅れが今回の一連のヒルズ族事件の原因であることは関係者から指摘されている。そもそも、ライブドアの時間外取引や、株の1万分割等、常識的に見ておかしい。ただ、この手法を取り入れたのはライブドアだけではないのも事実である。ホリエモンと欽ちゃんをスケープゴートにして、官僚の失態など、くさいものに蓋手法で事件を幕引きする構造は先の耐震偽装事件によく似た構造だ。まあ、規制緩和路線を続けた小泉改革路線の火消し作業にも見える。
●グローバリゼーションの名を借りたアメリカナイゼーション。その実態は高度金融資本主義の名を借りたマネーゲームだ。アメリカ在住に友人に来た話だが、アメリカの中産階級以上の人が集まるパーティでの話題は株、投資信託、ファンドはなにがいいか、という。国全体がヒルズ化している。一般人も401Kで、トレーダーとしての資質がないと老後も満足に安心して生活できない状況なのである。もはやアメリカ人はロウアーミドル以上は汗水たらして働く気がないようだ。
●経済学者の浅田彰が「資本主義は高度になっていくとちびくろさんぼの虎のように、利潤を追求しすぎて、最後は溶けてバターになる」と言ってましたが、まさにアメリカの金融資本主義はトラバター競馬場の第4コーナーをまわったようだ。世界デフレは三度来る?(笑)
●村上欽ちゃんファンドもまさにトラバターファンドとして、21世紀初頭を駆け抜けた。99年に通産省を辞めて、オリックス宮内社長などの後ろ盾を得て、創業した。創業時の預かり金額は30億円。それがわずか7年で130倍の4000億円とは驚きである。しかも年利30%という利回りを掲げていたというから驚きである。したがって阪神株買占めや、フジテレビ株参入など危ない橋も一つや二つではないはず…
●ファンドの顧客はオイルダラーや、華僑なども多いそう。シンガポールに逃げたのもそういったつながりからか…
●記者会見では「聞いちゃった」発言をしていましたが、プロ中のプロの発言とも思えない、氏の人間的な薄っぺらさを象徴する発言でした。阪神事件の起こる前、懇意にしている料亭の仲居に「阪神のキャンプは君の故郷の安芸に戻してあげるよ」と軽口をたたいていたそう…大丈夫か?プロ中のプロよ!
●薄っぺらといえば、あれだけの容量をほこるモダン建築物・六本木ヒルズが砂上の楼閣のように見えてきた。レストランはガラガラ…グランドハイアットは外人客ばかり…レジデンスの住人は続々小菅入り…ゴーストタウンと化すのも時間の問題な気がしてきた。
●かつて日本に鹿鳴館というものがあったのをご存知か?明治維新以降、関税自主権や治外法権などの不平等条約を苦慮していた明治の元勲・山形有明や、伊藤博文が西洋人を接待して懐柔するために造ったゲストハウスだ。当時、社交ダンスを踊れるものも少なく、なじみの芸者や華族の子女を無理やり借り出して何とか西洋化したJAPANをアピールしようとした。
●当初の計画がうまくいかず、仮装パーティで武士姿で参加した明治の元勲たちの努力の甲斐もなく、わずか6年間で幕を閉じた…
●グローバリゼーション、IT企業の総本山としてあたかも日本の貿易センタービルのような存在として、富の象徴として君臨するヒルズがオープンして今年で3年が経過した… その間、ドア圧死事件から始まり、様々な経済事件の現場としてニュース番組を飾り、日本の安全神話崩壊、まじめに働く者が馬鹿を見るニューエコノミーの失速の象徴としての六本木ヒルズ。
●アメリカのIT、金融に追い越せ追いつけとヒルズに結集した若手経営者と西洋化に邁進した明治の政治家の姿がダブって見える。
●かつて日比谷に威容をを示した鹿鳴館の姿はもうない。六本木ヒルズは3年後、外資の手に落ちてなければいいが…
●鹿鳴館政策に失敗した明治政府はその後、日清・日露戦争に突入して行った。村上氏は30億円の不正利益を納入し、金融業から引退しても数十億の資産を保有しているそうだ。
●結局、ヒルズ族(他のUSENや、楽天も含めて)とはなんだったのか?何か社会的貢献を果たしたのか?アメリカのIT長者は新技術でイノベーションを起こした。(ビル・ゲイツ=マイクロソフト、ステーブ・ジョブズ=ipod、マック、ラリー・ペイジ=グーグル)また、アメリカの伝説的ファンドマネージャー、ジョージ・ソロスは少なくとも、世界的な知性を持ち、哲学があった。ボブ・ロバートソンはバイクで世界一周するなど、個性的で少なくとも人間的な魅力がある。
●一連のヒルズ周辺の事件は日本に、日本人に何を残したのか?何も残してはいないだろう。反面教師としても、そこまでの「悪党」ではなく、数年もしたら誰も思い出さないだろう。
●あっそーだ。今のうちに「稼ぐが勝ち」買っとこう!

Friday, June 09, 2006

ワールドカップ・コンプリート予想

まずはベスト16から

Aドイツ・ポーランド
Bイングランド・スエーデン
Cアルゼンチン・オランダ
Dポルトガル・メキシコ
Eイタリア・チェコ
Fブラジル・クロアチアか日本
Gフランス・韓国
Hスペイン・ウクライナ

決勝トーナメント
ドイツ○vsスエーデン×
イングランド○vsポーランド×
アルゼンチン○vsメキシコ×
ポルトガル○vsオランダ×
イタリア○vsクロアチアか日本×
ブラジル○vsチェコ×
フランス○vsウクライナ×
韓国×vsスペイン○

準々決勝
ドイツ×vsアルゼンチン○
イングランド○vsポルトガル×
イタリア○vsフランス
スペイン×vsブラジル○

準決勝
アルゼンチン○vsイタリア×
イングランド×vsブラジル○

決勝
アルゼンチン×vsブラジル○

得点王
アドリアーノ
MVP
ロナウジーニョ

Thursday, June 08, 2006

世界共和国vs帝国

●柄谷行人の「世界共和国へ」を読みました。冷戦崩壊以降、左翼陣営としては珍しく、積極的な活動を続けてきた氏の集大成的思考集なので、ちょっと論評してみたいと思います。
●氏は国家=資本=ネーションという枠組みをこう分析しています。まず、国家とはベネディクト・アンダーソンいうところの「想像の共同体」として、ヨーロッパ諸国でラテン語が解体し、地方ごとに共通言語が派生してきたところによる共同体である。また、資本とは商品交換の一形式として捉えられており、贈与、再配分、交換という形の中の一部であると説いてます。これは経済人類学者のカール・ポランニーの理論に依拠しています。
●そういった中、19世紀にあったリバータリアン社会主義、アソシエーション主義を再提案しています。このリバータリアンという考えは日本ではなじみが薄いが、要は国家を信用しない、独立自衛的なライフスタイルです。氏はこういった思想を自身が以前、唱えた「NAM」に結び付けようとしているのでしょう。NAM理論というのは現在で言うところの生協を作ってそれを生活の共同体の基盤として捉えようとする運動です。現在は開店休業中です。
●こういった理論展開とは別に、現在の帝国(これは政治学者・アントニオ・ネグりの概念)に対して、マルティチュード(有象無象のマイノリティー)を対立させるだけでは、19世紀ののヨーロッパにおける失敗と同じことになる。その上でカントの提唱する「世界共和国」という概念を持ってきます。
●前半の国家概念の解体をめぐる論考と後半の帝国に対する対立概念としての「世界共和国」。前半と後半で分断した論考をつなぐ部分がなく、全体としてはやや、散漫な印象を受ける。
●氏の論文の特徴として、世界的な視点で論考し、日本という視点が欠けています。まあ意識的にやっているのでしょうが。逆にしの論理を土台にして、日本の視点から、世界共和国、リバータリアリズムを再考してみたい。
●日本が帝国と出会ったのは、飛鳥時代の唐、鎌倉時代のモンゴルを除くと、明治維新のアメリカになる。この時、日本がとった態度は西洋への追従、模倣である。やがて力をつけた日本は帝国そのものを模倣することになる。朝鮮半島をめぐる清とロシアに対する戦争だ。今日の右翼陣営は典型的回廊半島の朝鮮を押さえておくことが日本の独立自衛を守る地政学的な生命線である、というが実際、韓国にとっては迷惑な話である。ヨーロッパでそうしたた戦略をとった国はナチス・ドイツなどが該当する。(アウへーベン=絶対生存圏)イギリス、フランス等はそこまでやっていない。そう言った考えがすでに帝国主義的である。しかも、ロシアに関しては勝たしてもらった戦争であることを当時の日本は自覚していなかった。英国との同盟、借款、アメリカの仲介など、この時点で日本はウォーラーステインいうところの「近代世界システム」のプレイヤーの一人として、パーツの一つになっていたのである。ただ、胴元ではなく、あくまでも使われる側だが…
●第一次世界大戦のころは極東の帝国と化した日本がヨーロッパ戦線の惨状に気づかず、満州事変から中国へ進出したのは国際政治の動静を見誤った失政である。この時点で帝国主義の時代は終焉を迎えたのだ。ベルサイユ講和会議で世界は三つの帝国を解体した。オスマントルコとオーストリア=ハンガリー帝国とプロイセン王国である。
●そもそも遅れてきた帝国である日本や、ドイツがいくら主張しても、すでに既得権を得ている旧帝国が道を空けるわけがない。また、日本はこの時点で十分に勝ち逃げができたのに、もっと寄越せ、という傲慢な帝国になっていた。ドイツみたいに大戦で負け、こてんぱんにやられてないので、あの時点で満州に固執することなく、また第二次大戦を避けたからといって、日本の独立は維持でき、東南アジア諸国も独立していたであろう。全く日本はしなくていい戦争をしたのだ。
●そして第二次世界大戦は始まった。結論から言うとアングロサクソン帝国の優位をゲルマン、モンゴロイド連合は崩せなっかったということだ。
●戦後は冷戦を勝ち抜いたアメリカが唯一の帝国として君臨し、軍事、経済、文化に渡って世界を凌駕し続けている。グローバリゼーションとはアメリカナイゼーションに他ならない。
●国連概念を提案したのはカントだが、具体化したのはアメリカ大統領・ウィルソンである。しかし、アメリカは議会の反対に遭い、国連は不参加だった。
●戦後に生まれた国連はunited nashonsでこれを国際連合と訳するのは超訳であって、中国では普通に「連合国」と表記してある。もっと判りやすく言うと「戦勝国」だ。常任理事国に日本やドイツが入ることができれば真の意味で戦後は終わったといえるだろう。
●したがって今日でも「世界共和国」を実現しようとする意志と能力を持った国際的な動きはない。唯一つあるとするならばユーロである。しかし、トルコを加入するかどうかでもめているところみると、今のところ、アメリカ帝国に対抗するブロック経済圏の枠をでない。イスラム等、非キリスト圏を共有してこその世界共和国であるはず。
●翻って、日本は政治学者・サミュエル・ハンチントンの言うように中国帝国と太平洋を挟んでアメリカ帝国の狭間で揺れ動く準大国としてどちらかに依存するのか、それとももう一度、「帝国」を目指すのか、それとも独立自衛国として中立を保つのか、いずれかである。
●もう一つの提案である「リバータリアリズム」であるが、実は日本は江戸時代の300年の鎖国時代が世界的リバータリアン国家として機能していたのだ。
●柄谷氏の論敵とも言える福田和也氏が「大丈夫な日本」という著書で書いているが、江戸時代の徳川幕府や地方藩の日本の治水、環境対策、リサイクルなどの政策の素晴らしさを紹介している。氏は日本が大量消費文化である西洋文明に対抗する知恵を元来、日本人が持っていたことを強調している。右肩上げリ経済ではない文明の形をかつて日本人は持っていた。したがって日本は大丈夫だと結論着ける。
●これは柄谷氏が問うところのリバータリアン国家としての日本の再定義だろう。国際社会から距離を持ち、アメリカの金融資本主義からも距離をとり、自営していく。その代わり、現在の豊かな物質文明はあきらめ、銀座からエルメスもルイヴィトンも撤退する光景をあなたは想像できるか?
●このような国家像を建設するには最低限、食料自給率と独自の軍事力、そして人口減が絶対の条件だろう。
●なんだか気宇壮大な話になってしまいましたが、たった一冊の新書で、ここ20年の現代思想の最先端に触れることができる「世界共和国へ」は読んで損のないい一冊でした。

Tuesday, June 06, 2006

神戸国際空港開通記念・わが街神戸

●神戸国際空港が開通した。現在はキャンペーンで格安料金で搭乗率はまあまあだが、今後どうなるか不安だ。
●ワタクシは神戸生まれの神戸っ子。そこで神戸人気質と神戸論、もしくは極私的神戸案内をしてみたい。
●神戸という名前がついたのは明治維新。日米通商条約で開港市に指定された時だ。ちなみにこの時開港されたのは函館、新潟、横浜、神戸、長崎の五港。函館はオホーツク、新潟は日本海の玄関口。横浜は直接、東京に入港されるのを避けたため。神戸は大阪のそれと同じ理由だろう。したがって横浜とよく似た構造だ。
●京阪神とよく関西人は一まとめにされるが、これほど共通点が少ない人種はいない。
大阪人のせっかちさや、京都人のいけずとは全く違う神戸人の特徴は新しい物好きで中途半端なうそをつくのが欠点といわれる。
●神戸は歴史が無いのが特徴
大阪や京都と違って歴史が無い。明治維新の時、開港をしたが、それ以前は小さな漁村&漁港。
●ライバルは横浜
街の成立過程がにているので。ただし、太平洋航路で、米軍基地をもつ横浜はアメリカ文化。ヨーロッパ航路の終着港・神戸はヨーロッパ文化の影響が濃い
●神戸のヨーロッパ文化
①ドイツ文化
第二次大戦の同盟国・ドイツの影響は濃い。ワタクシが大好きなトーアロードデリカテッセンはドイツ風のソーセージ屋。ワタクシはここのブーダンノアールが大好物です。また、フロインドリーブなど神戸人の朝食はパンになったのもドイツ文化のせい。
②ロシア文化
ロシア革命で神戸に移住してきた。モロゾフ製菓をはじめとして、洋菓子文化に多大な影響を与えている。今日でもコスモポリタン等老舗のロシア製菓が健在。
③中国文化
広東、台湾華僑が大量移住。中華街は横浜ほど汚染されず、まあまあ食える。「老小機」のショウロンポーは有名。町中に中華街があり、神戸を代表する洋館をそのままレストランにした「東天閣」などはいかにも神戸らしい店。ワタクシのお薦めは
④韓国文化
在日朝鮮人も多い。したがって焼肉屋も充実している。
⑤インド文化
意外と知られてないが、異人館のオーナーはインド人が多い。異人館には日本では珍しいイスラムモスクがある。
●神戸の衣食住
衣①旧居留地・世界中のブランドショップが終結している。銀座よりもサントノーブルやモンテナポレオーネに近い雰囲気。親子で同じなりをして、首になにか巻いているのが特徴。ヒールは最低7センチ。色は淡色で派手なものを好む。なぜか下品にならないのが不思議。
②高架下・JR高架沿いに約300軒のカジュアル系ショップがひしめく。旧居留地と違い、こちらはアメリカン。日本で初めてアメカジを輸入した「ミスターボンド」や「タイガーブラザーズ」が有名。
食①フレンチ・「ジャンムーラン」という西日本を代表するフレンチがかつてあった。現在はその弟子たちが各自店をオープンしている。総じてレベルが高い。かつてフレンチの三ツ星「アラン・シャペル」もありました。
②神戸牛・やはり食べたいでしょう。ステーキの「あら皮」は高すぎるので、お薦めは「鶴参」のたんしゃぶ。
住・安藤忠雄建築の建物があちらこちらにある。安藤の集合住宅が六甲にある。やはり海が見渡せる高台に住みたい。
●神戸の有名人
村上春樹、丘泳感、東山魁夷、横溝正史、遠藤周作、中島らも、筒井康隆、白州次郎等…
●というわけで…港町育ちの開明性、進取の気質、割りきりが速く、淡白、大雑把な神戸人です。

追悼・今村昌平

●連日、新聞やテレビで報じられている今村昌平氏。気になることが一つ。「うなぎ」「楢山伏考」で有名な…という決まり文句が気になる。なぜなら、この二作はイマヘイの代表作ではないからだ。何故この二作なのかはカンヌでグランプリを受賞したからだろうが、イマヘイの真の実力は他の映画で確認して欲しい。ワタクシが私的にベスト10を発表します。
①「復讐するは我にあり」
実在する連続殺人犯・西口彰をモデルにした小説を映画化。主人公を演じる緒方拳の鬼気迫る演技もさることながら、父親の三国連太郎と妻役の賠償美津子がすごい。また、脇役のミヤコ蝶々なども一世一代の名演をしている。
②「赤い殺意」
東北の人妻が不倫がきっかけで女の本能に目覚め、殺人に転落していく話。主演の春川ますみと不倫相手の露口茂が圧巻。今見ると価値観が古い気もするが、それだけ世の中が急速に変わってきたのでしょう。
③「にっぽん昆虫記」
左幸子主演。このころの左幸子はヤバイ。SEXがきっかけで変貌するおんなの話なのも同じ。しかしイマヘイ監督の女性に対する無制限の信頼性は何に由来しているのか?
④「神々の深き欲望」
沖縄にある孤島をめぐる血と愛の壮絶なドラマ。文化人類学的アプローチで造られた快作。主演・三国連太郎。この映画でデビューした沖山秀子はこれ一作で伝説となった。ストーリーは島の開発に訪れたサラリーマンが古い因習と呪術に支配された島の人々に巻き込まれてていくお話。ただ、ここでストーリーを羅列してもしょうがない。とにかく観てとしかいいようがない…
⑤「豚と軍艦」
終戦直後の横須賀のチンピラを描いた青春群像。米軍占領下の日本のリアルを描いた傑作。主演・長門博之。
⑥「エロ事師たち」
野坂昭如の傑作小説の映画化。ピンク映画製作が職業のすぶやん(小沢昭一)とその周辺に集まる奇怪な人々の性生活を描く。
⑦「人間蒸発」
実際に夫が蒸発した妻を追いかけるドキュメンタリー。妻のナビゲーターっを勤める露口茂に妻が恋愛感情を持ったり、また、その様を映像化したり、この頃のイマショーは神がかり的だ。
⑧「盗まれた欲情」
イマヘイデビュー作。ねちっこい人間描写に早くも大物の風格が漂う。
⑨「楢山節孝」
坂本スミ子、清川虹子の快演だが、木下恵介版より上と必ずしも言いがたい。緒方拳が東北の貧民には見えない。彼は漁民タイプだ。描写、演出はすごいが成功しているとは言いがたい。
⑩「うなぎ」
油が抜けたイマヘイ映画。ぬるぬるしているのはタイトルだけ。ただ、小品としての味がある。

Monday, June 05, 2006

正子か?次郎か?白州ブームの意味

●「風の男・白州次郎」や、「プリンシプルのない日本」などで、ここ4~5年、白州次郎がブームになって
いる。
●また、女性誌では10年近くも白州正子ブームが続いている。言うまでもなく、二人は夫婦である。夫婦で大衆に人気がある皇室を除く一般人は日本では珍しい。海外にはサルトルとボーボワールや、アルフレッド・ステーグリッツとジョージア・オキーフ、ダリとガラ等、文化人セレブ夫婦は多い。
●白州次郎は1902年芦屋生まれ。実家は貿易商で、ケンブリッジ、オックスフォードに留学。留学中はベントレーを乗り回す豪遊ぶり。その後、昭和恐慌の頃、実家が倒産し、帰国。その直後に正子と結婚。正子は海軍大将樺山柾輔の孫で、旧・家族の名門の出。昭和初期にこの坊ちゃんとお嬢さんは結ばれた。その後、次郎は戦争前に神奈川県の鶴川に引っ込み、農業生活を始める。この農家は現在でも「武相荘」として公開されている。
●戦後、次郎は以前から面識のあった吉田茂の懐刀として、当時日本を占領していたGHQとの折衝で、一歩もひかない交渉人として名声を上げる。その後も通産省の創設に参加したり、東北電力会長などを務める。上記の「プリンシプルのない日本」は戦後10年における次郎の著述を集めたもの。押し付け憲法、押し付け民衆主義からの脱却を当時から主張しており、今から考えると早すぎる内容で、今日の人気の原因でもある。親友の今日出海が「高貴な野蛮人」という通り、思ったことは口にする。また。お洒落な粋人としても評価されている。
●妻の正子は青山次郎、小林秀雄の薫陶を受け、骨董や、能狂言など、日本の古典文化の語り手として次第に声明をなしていく。こちらの正子氏も次郎と同じく、直言居士で、なぜか小林など、大物にかわいがられるところなど、吉田茂や、近衛文麿に可愛がられた夫の次郎とそっくりである。晩年の正子はミヤケ・イッセイのモデルを勤めたり、華道家の川瀬敏郎に薫陶を与えたり、「美の種をまく人」として一種、神格化された後、数年前に逝去している。
●生前も死後も夫婦揃ってこれだけ愛され続けるケースはまことに珍しく、二人には何か余人には及ばないかっこいい何かがあるのだろう。ただ、過去の経歴や、著作に眼を通してもその秘密は実はよくわからない。
●ただ、実際にここまで人気があるのはダンディだとか、古典に通じているという理由だけでなく、明治人のしかも上流階級出身の人がもつオーラなのではないだろうか。品格と言い換えてもいい。白州より、語学が堪能な人間は現代でもいるだろう。正子より骨董の目利きもいるだろうが、二人ほどいい意味で図々しく、言いたい事言っても下品じゃない人は現代にいるのか。
●戦後、旧制高校や、華族制度が廃止され我々はみな平等になった。しかし皆が皆、平等になったことが人の心に嫉妬心をあおることになってしまったのではないか。戦後60年の今日でも、人間は生まれながらにして最低限の生存権を国家が補償しているだけで、貧困、差別、またもって生まれて能力や美貌の差などいかんともしがたいものがある。人間が人間である限り、優劣は生まれた時からあるのだ。
●現代人に白州夫婦が受けているのは家柄もよく、見目も美しく、立派な教育を受けて、なおかつ、傍若無人で、でも人に嫌われない、そんな自分たちとは「格が違う人」を愛することができる余裕を日本人が持ったのかもしれない。また、戦後民主主義が生む民主的なヒーロー(長嶋茂雄、美空ひばり)に物足りなさを感じ始めたのかもしれない。だとすればこの一連のブームは悪いことではない。戦後民主主義の悪しき平等主義に日本人自体が疑問を持ち始めているのと、白州ブームが機を一にしている可能性がある。
●ちなみに白州正子の著作でお薦めは
「日本のたくみ」日本の伝統工芸に従事する匠たちを正子がインタビューした。勉強になります。
「お能の見方」能狂言のナビゲーターとしても著名な正子の能入門書。
「西行」日本を代表する歌人を正子が真っ向から取り組んだ西行伝。
(明日は神戸国際空港開港記念・我が街・神戸について)

Thursday, June 01, 2006

ダークサイドジャパンツアー①京都

●糸井重里夫婦が引っ越してますますセレブ御用達の都市になりつつある京都。
しかし、1200年の歴史を誇る魔都という裏面をもっている。
怨霊や、戦争の亡霊が巣食う古都京都のダークサイド案内をします。
●京都駅近くの「お好み焼き」に入っている謎の白い粉
あぶらかすって知ってますか?牛の腸内にある脂肪分のことだが、京都七条あたりの「お好み焼き屋」ではこれを材料にする。元々は被差別部落で常食されていたという説もあるが、これが実にうまいんです。多分、日本中にこれを食える店は少ないので、豆腐と湯葉に飽きた方はぜひたべてみてください。お薦めは「山本まんぼ」「吉野」。
●ユダヤ人が開いた?太秦周辺
もともと京都を開いたのは外国人だったって知ってますか。
聖徳太子のブレーンだった秦一族がこの太秦に移住したのが街が発展する契機となった。
この秦氏というのがその出自がよくわからなくて中国人とも朝鮮人とも言われている。
そんな諸説の中で巷間言われているのが、実はユダヤ人なのではないかと昔から言われている。
その根拠はこの太秦の神社仏閣に謎の痕跡がある。
ソロモン王の名前がついた井戸、五角形の星(ユダヤのマーク)、三角形の鳥居など、不思議なオブジェがある。広隆寺にある半跏思惟菩薩は国宝第一号で有名。
太秦は映画村というイメージがあるが結構奥が深い。
●反逆の街・亀岡
京都から電車で30分の城下町。
ここは地元では反逆者の町で有名。亀岡城の初代城主は明智光秀。また、昭和時代、大弾圧を受けた大本教の本部もこの亀岡。お薦めは七代目小川植次が造園した洋館を旅館に改造した「楽々荘」。トロッコ電車de
有名な京都の実業家・田中源太郎の邸宅です。彼もまた、国策に逆らって電車を引いた反逆者ともいえます。和洋折衷建築の傑作。一見の価値有。また、アマンリゾート日本初上陸がこの亀岡の近くになる予定。
PRICE1泊2食付平日\29400~(休前日\33600~)、庭園が見渡せ、半露天風呂から山桜が見える客室「山桜」\33600~(休前日\42000~)CONTACT京都府亀岡市北町44 ℡0771-22-0808 IN15:00 OUT12:00 京都駅から亀岡駅まで30分。駅から徒歩8分。www.rakurakuso.com
●京男はオタク、京女は露出狂
祇園周辺には御茶屋バーなるものがある。要は元芸者が経営しているバーなんだかスナックなんだかよくわからない店。ワタクシはそんな店に何回かいったことがあるが面白い。何が面白いかというと来てる地元のお客さんである。ワタクシがたまたま出会ったお客さんは中条きよし似のチョイ悪親父だったが、口を開くと霊の話しばかりだ。さすが、安倍清明の町と言う感じだ。京都の世界遺産は神社仏閣ではなく、今日も街中をのたくっているボンボンだ。実際にみうらじゅん、鏡リュウジ、島田紳助など、趣味を仕事にしている人が目立つ。このゆるーいカルチャーを支えているのは長男を大切に扱う京文化の特徴。逆に、人の目を気にしなくてはならない京女は大変である。だから東京に上京すると反動で裸になりたがる人が多い。(例・由実かおる、杉本彩、幸田久美)
●とりあえず、今日はこの辺で。ワタクシが見聞きしたダークサイド観光は今後も続けて行きます。