Tuesday, June 20, 2006

歴史はハニートラップでつくられる

●3月31日付読売新聞朝刊が、2004年5月6日に職場で自殺した上海総領事館員の遺書をスクープした。読売新聞は「総領事あての遺書は計5枚の長文で、中国側の接近から自殺を決意するまでの経緯が個条書きで記され」としているが、この遺書の体裁は、外務省で用いられている「事務連絡」という電報の形式をとっている。筆者はこの遺書は私信ではなく、死を決意した電信官が杉本信行総領事(当時)に宛てた最後の公務報告書として取り扱うべきと考える。
 中国の工作員唐某は、〈あなたがやって来たことは中国では、法律に違反する。あなたは領事館員という立場で、そういうことをして、ただですむと思っているのか、我々と会っていると言うこと自体、総領事館に知られたら困るのではないか、国と国の問題になるぞと恫喝(どうかつ)してきました。仕事を失い、家族はどうなる。あなたが「協力する」と言えば、家族とも一緒に暮らせるし、その女性も幸せに過ごせる。全ては円満に収まるではないか。私達(唐)はあなたが「不幸」になる姿を見たくない等と言い続けました。3時間を経過したとき、私は「承諾する」と言いました〉(原文のママ)というような工作をかけた。
 唐某の工作は卑劣であるが、諜報の世界ではよくあることだ。筆者ならば「ただですむと思っているのか」と聞かれたら、こう言い返す。〈もちろんただで済むと思っている。それとも貴様に利息をつけて返してやろうか。中国に怖い人間はたくさんいると思うが、日本にもいる。あなたは少し気が短いんじゃないか。『気が短い人は命も短い』というこの業界の常識を知らないのか〉
●ーーーー以上は、webマガジンの人気コラム佐藤優の「国家の罠」からの抜粋です。
中国共産党が外国人の要人にスパイの女性を相手の懐にもぐりこませ、肉体関係を結んだ上で、相手側の情報を取ろうとする戦術。通称、ハニートラップと言うそうだ。
●このハニートラップに引っかかったのはこの上海領事館員だけでなく、大物政治家なんかにもよくあることらしい。櫻井よしこは先日の橋本龍太郎の訪中は過去のハニートラップに引っかかった件で中国の言いなりになっているという。実際、橋本は首相在任時に問題になった。
●ハニートラップはそれこそスパイの歴史と同じぐらい古いもの。戦後の日本にはスパイ文化というものがそもそもなかったからこの手の問題には疎い。戦前には日本にも戦争末期に陸軍中野学校というスパイ養成所が作られた。
●また、戦国時代の忍者・九の一などはまさにハニートラップの元祖ともいえるし、満州国皇帝・溥儀の側近である川島芳子なんかも有名だ。九の一に興味がある方は山田風太郎の「甲賀忍法帖」をお薦めする。また、川島芳子に興味がある方はベルトルッチの「ラストエンペラー」がお薦め。
●ヨーロッパにもマタ・ハリという美人スパイがいた。彼女もハニートラップが武器だったそうだ。
●これは最近の研究で言われるようになったが、戦前の陸軍士官がドイツ留学に言った際に盛んにハニーとラプウに引っかかったと言う説だ。石原莞爾から森鴎外まで、ベルリンに派遣されると必ず、愛人ができるのであるが、極東の貧困なアジア人が金髪碧眼のゲルマン娘にそんなにモテルはずもなく、あれはハニートラップだったと言う説だ。もしこれが本当なら、第二次世界大戦に引き金は日本軍の異様なドイツびいきから起こった側面があるので、大問題であろう。歴史は女でつくられる(笑)
●そもそもこの話がリアリティがあるのは戦後、ハニートラップがお家芸の国は佐藤優氏によると東ドイツだそうである。悪名高い特高警察(シュタージ)が有名なだけに、信憑性がある。
●そう言えば、プーチン・ロシア大統領は東ドイツのKGB出身。ここで頭角を現し、師匠であるロシア市長に引っ張られて、政界の表舞台に立つ。このロシア市長がハニートラップにひっかかかり、SEXビデオが流出し、その火消しをやったのがプーチンだった。しかし火をつけたのは誰だ。この後、プーチンは出世の階段を上り続けて、大統領の地位を得るまでになった。
●歴史はハニートラップでつくられる
●東洋のマタハリ・川島芳子は戦後、中国で死刑の判決を受ける
その時の辞世の句を記す

家あれども帰り得ず
涙あれども語り得ず
法あれども正しきを得ず
冤あれども誰にか訴えん

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