Wednesday, September 06, 2006

塩野七生・「ローマ人の物語」ユリウス・カエサルまで

●東京都立日比谷高等学校、学習院大学文学部哲学科卒業。1963年からイタリアへ遊学し、1968年に帰国すると執筆を開始。雑誌『中央公論』掲載の『ルネサンスの女たち』で作家デビューをはたす。1970年には『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。また同年から再びイタリアへ移り住み、現在もイタリアの古都・フィレンツェに在住。舞台をイタリア中心に限定し、古代から近世に至る歴史小説を多数執筆し続ける。 1983年には、菊池寛賞を受賞。1992年からは古代ローマを描く『ローマ人の物語』を年一冊のペースで執筆しており、完成は2006年を予定している。
●『ローマ人の物語』は、塩野七生の古代ローマに関する著作。1992年以降、年に1冊ずつ新潮社から刊行中の書き下ろし作品。2006年刊行予定の15作目で完結。日本の書店や図書館などでは歴史書として扱われていることもあるが、大半の研究者からはフィクションや根拠のない断定が許されるという意味合いにおいて小説として扱われている。誤った記述がある、著者の想像による断定が含まれる、ローマ史の定訳を用いていないなどの批判もあるものの、小説家である著者によって魅力的に描かれた古代の英雄達は多くの読者を獲得している。本シリーズはローマ史をよく知らぬ読者からそのままの歴史の記述として扱われているという問題を有するものの、ベストセラーとなった本シリーズが多くの日本人読者に古代ローマについて関心を抱かせたことは否定できない。1993年シリーズ1作目である『ローマ人の物語I ローマは一日にして成らず』で塩野七生は新潮学芸賞を受賞している。2002年から順次、新潮文庫から単行本1冊を2~3冊に分けて文庫化されている。

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各巻構成と内容
ローマ人の物語I ローマは一日にして成らず (1992年、新潮社)
王政ローマの建国からイタリア半島統一までを描く。
ハンニバル戦記 ローマ人の物語II
第1次~第3次ポエニ戦争を描く。名将大スキピオ対ハンニバル。
勝者の混迷 ローマ人の物語III
地中海の覇者となったローマの内乱の世紀。
ユリウス・カエサル ルビコン以前 ローマ人の物語IV
ユリウス・カエサルの偉業と魅力。
ユリウス・カエサル ルビコン以後 ローマ人の物語V
カエサルのルビコン川越えと暗殺、第二次三頭政治。
パクス・ロマーナ ローマ人の物語VI
ローマを帝政に移行させた初代皇帝アウグストゥスが、パクス・ロマーナの実現を進める過程。
悪名高き皇帝たち ローマ人の物語VII
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝の功罪。
危機と克服 ローマ人の物語VIII
ユリウス・クラウディウス朝断絶後の帝国の混乱とフラウィウス朝の成立、ネルウァまで。
賢帝の世紀 ローマ人の物語IX
五賢帝のうちトライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウスの時代。
すべての道はローマに通ず ローマ人の物語X
ローマのインフラストラクチャーについて書き尽くした番外編。
終わりの始まり ローマ人の物語XI
哲人皇帝マルクス・アウレリウスと息子コンモドゥスの時代、その後の混乱。
迷走する帝国 ローマ人の物語XII
危機の三世紀。
最後の努力 ローマ人の物語XIII
ディオクレティアヌスとコンスタンティヌスの時代。
キリストの勝利 ローマ人の物語XIV
コンスタンティウス(2世)と背教者ユリアヌスの時代からテオドシウスの時代まで。
以上、ウィキペディアより抜粋
●とりあえず「ユリウスカエサル」まで読みました。政治・経済・文化・愛欲も含めた壮大な世界を圧倒的な変遷を経て1000年のローマ帝国史を描いた超大作。
●ヨーロッパの教養としてはスタンダードなローマ史をギボン以来、本格的に日本に紹介してくれた塩野イタリア文学の集大成といえる超大作。共和制・帝政・元老院・護民官・市民集会など、政治形態の見本市とも言え、必読書だ。
●塩野氏も指摘しているが、日本人のローマ観はハリウッド映画に刷り込まれた悪の帝国。ハリウッドメジャーがユダヤ人・キリスト教を基盤にしているから、こうなったという。日本人の教養基盤は戦前はヨーロッパにあったが、現在は多くをアメリカにおっているため、ローマ史観が定着し無かった。
●しかし、塩野氏によるとローマ人はゲルマンや、ケルトと違い、多神教で、農耕民族であり、室内の装飾は簡素を好み、食生活は魚と穀物が中心。温泉が大好き…と日本人そっくりなのである。戦争も組織戦に強く、日本人の政治家や、経営者は読むと参考になるはず。

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