Monday, May 22, 2006

私が愛した女優①聖芹明香は飛田新地のジャン・ジュネか

●いやー世の中には話が解る人っているんだなー。うれしくなっちゃう。えー何の話かともおしますと、先日、書店で「名脇役の昭和映画」みたいなタイトルだったと思いますが、本を見つけまして、中を何気に見てみると、「芹明香」という章がありまして、熟読してしまいました。
●芹明香とは、かつて、日活ロマンポルノというプログラムピクチャーがありまして、要は「ロマンポルノ」という奴です。45歳以上の人ならば観たことあるはずです。
●芹明香は活動期間も短く、主演作品は数本しかないので、ほとんどの映画評論からは無視された、というか相手にされてない存在でありますが、ワタクシは彼女が日本映画史に残る名女優であると断言できます。しかし、そんなことをいっているのはワタクシだけで、日本にはワタクシしかいない、と心細い思いをしてましたが、昨日、もう一人、発見できたことが嬉しくて、嬉しくて(泣)
●しかもこのほんの著者は鹿島茂さん。知れない方に簡単に説明しますと、フランス文学の先生です。しかもこと女性に関しては日本で5本の指に入るほど、解ってらっしゃるというか、造詣の深い方です。解りやすく言うと、野球界における野村克也みたいな人です。
●その鹿島さんが「芹明香」について、30Pもの論考をされていて、内容がすばらしい。 「マル秘色情めす市場」という作品があります。お話は飛田新地(大阪に現存する遊郭です)
http://r.gnavi.co.jp/k069800/
●ここに生息する娘(芹明香)と母親(花柳幻舟)、そして、父親の違う知恵遅れの弟(夢村四郎・後の荒戸源次郎)のお話であります。このキャスティングだけでも相当すごいのですが、これに+、宮下順子(ロマンポルノの女王)、荻原朔美(アーティスト)のカップルが絡んできます。
●ま、ここでいくら書いてもワタクシの拙い文章では表現仕切れませんので、ぜひDVD観て下さい。タイトルは「受胎告知」でしたが、会社に反対されて、こうなったそうです。
●あらすじ
十九歳のトメは、ドヤ街の近くで客をひく売春婦である。トメの弟の実夫は生まれながらの白痴で、年中、家でゴロゴロしている。母よねは、四十歳を過ぎた現在でも売春婦をやっているが、あふれることか多い。小料理屋「おそめ」では裏二階で、客に女を抱かせているが、トメに辞められて以来、収入が減ってしまったために、地廻りで“大人のオモチャ屋"をまかされている浅見に頼んで、トメに喝しをかけるが失敗してしまう。ある日、トメは手配写真の中にあった強盗殺人の顔にそっくりの男、寺坂に会って以来、彼に興味をもった。寺坂と同じボロ・アパートの住人、斉藤と文江は共稼ぎだが、正式の夫婦ではない。斉藤は会社の金を使い込んでしまった。思い余った文江は浅見に頼んで「おそめ」で働くことにした。銀二はよねの情夫で時折りトメの家にやって来る。ある日銀二は、よねの留守にやって来て、トメに金を払い二人は寝た。数日後、これがバレて母娘喧嘩になるが、後の祭り。ところが数日後、連れこみ旅館からの連絡で「年増はアカン、もっと若い娘」ということでトメが行ったが、そこにいた年増というのがよねだった。収まらないのはよねで、眼を吊り上げて旅館を飛び出し、焼酎をガブ飲みして大暴れ。数日後、久しぶりに家に帰ったトメは、よねがいるので、一瞬ギクリとするが、よねは弱々しい声で言うのだった。「お前に頼むしかないんや、どないにもならへん。堕ろそうと思ってるうちに、もう五ヵ月になってしまっとんのや」「うちらみたいに生んだらエーヤンか、そんなアホなこと知らんでェ」「お前らも生むんじゃなかった。金がないばっかりに」「生んで貰って迷惑しとんのは、こっちゃでェ!実夫、よう聞いときィ」「なンやてェ! このド阿呆!」「人でなしは生まれたときからや」……。トメはプイと外へ出ると、いつものように客ひきに精を出すのだった。
●その後も、日活ロマンポルノの名脇役として活躍。特に深作欣二の「仁義の墓場」における大阪の娼婦役が記憶に残る。薬中で、主人公の渡哲也をダメにさせる。その後、本当に覚せい剤で逮捕され、しばらくは芸能界を離れたが最近、復活して細々と活動を再開したそう。

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